二次使用料とは?
ざっくり言うと「別の使い方をするときの追加料金」
※お断り※
このページは、権利処理に馴染みのない方に「だいたいこういうこと」を掴んでいただくため、私の個人的な解釈を記したものです。厳密な説明から少しずれますので、ご了承くださいませ!
例え話: 借りた家で、パーティーを開きたくなったら
「権利処理とは」のページで、コンテンツを家に例えました。最初の公開(放送や上映など)のために家を借りて、家賃(最初の出演料や原作料)を払っている。ここがスタートです。
で、その家で「配信」というパーティーを開きたくなった。「DVD」という商売もしたくなった。
でもそれ、借りたときの約束には入ってない使い方ですよね。だから、その分の追加家賃を払う。これが二次使用料です。
しかも、家の持ち主は1人じゃありません。土地・建物・家具(=原作・映像・出演者や楽曲)、それぞれの持ち主に、それぞれ払います。「1人に払えば終わり」にならないのが、ややこしいところです。
で、誰に払うの? 相手は1人じゃありません
ここが一番ややこしいところ。払う相手は、権利の種類ごとに別々です。
- 出演者・実演家 — 所属事務所と個別に決めるのが基本。放送番組の二次利用なら、aRma(映像コンテンツ権利処理機構)が許諾と使用料の徴収・分配をまとめてやってくれる仕組みもあります(2015年から)。ただ、aRmaは出演者から委任を受けた「窓口」で、権利そのものは出演者側にあります。委任していない出演者は対象外ですし、委任していても、事務所が可否や条件を個別に判断する形(非一任型)があります。「aRmaに出せば全員終わり」ではない、ということです
- 原作・脚本・イラストなどの著作者 — 著作者本人や出版社と個別に。原作契約の中に、二次利用の条件がもう入っていることも多いです
- 音楽の著作権(作詞・作曲) — JASRAC・NexToneを通じて。配信プラットフォーム側が包括契約で処理してくれている場合もあります
- 音源(原盤)・歌手や演奏者 — レコード会社などと個別に。市販の音源をそのまま使っているときは、特に要注意です
音楽の権利のコラムで「1曲だけでも、払う相手は2系統(作詞・作曲/音源)いる」と書きました。コンテンツ全体で見ると、それが4系統に増える、というわけです。
いくら払うの? 決め方は2パターン
- 固定額 — 「配信1年につき○円」のように、使う範囲と期間に対して決まった額を払う
- 料率(レベニューシェア) — 「売上の○%」のように、二次利用で得た売上に応じて払う。いわゆる印税方式です
シンプルに見えますよね。でも料率方式だと、だいたい次の3つで話がこじれます。
- 「売上」って、どの売上? — 総額なのか、プラットフォームの手数料や経費を引いた後なのか
- 何の単位で分けるの? — 作品単位か、エピソード単位か、出演した回だけか
- いつまでに払うの? — 売上報告が来てから何日以内か。最低保証や上限はあるか
そもそも発生しないパターンもあります: 買い取り
最初の契約のときに、二次利用の分までまとめて払っておくやり方です。いわゆる「買い取り」。この場合、あとで配信してもDVDにしても、その相手への二次使用料は発生しません。
ちなみに「買い取り」は法律用語ではなく、現場の言い方です。権利ごと譲り受ける意味で使う人もいれば、まとめ払いで、決めた範囲を使わせてもらう意味で使う人もいます。同じ言葉でも中身が違うので、契約書の文言で確かめるのが確実です。
ラクに見えますが、気をつけたいのは「どこまで買い取ったか」です。配信は入っている? 海外は? 期間は無期限? 契約に書いていない使い方をするなら、その分は改めて相談になります。「買い取りだから何に使っても大丈夫」と思い込むのが、一番あぶないところです。
現場あるある: 3つの落とし穴
- 最初の契約に、二次利用のことが書いてない出演や原作の契約が、最初の公開の分しか決めていない。「配信したい!」となってから、一人ずつ連絡して後追いで交渉することに。時間がたつほど連絡先も経緯も分からなくなって、「出したいのに出せない」作品が生まれます
- 売上報告は来るのに、計算できない配信プラットフォームから売上の報告は届く。でも「この作品の、この人に、何%を、どの売上から」が一覧になっていないので、毎回Excelを一から組み直し。締め前は残業、間違えたら信用問題です
- 前に決めた条件が、どこにも残ってない前回の配信で決めた条件が、当時の担当者のメールの中にしかない。次の二次利用で、またゼロから交渉です。「記録までが権利処理」と言われるのは、このためです
ちなみに: 法律の「二次使用料」は別モノです
著作権法の「商業用レコードの二次使用料」という言葉に出会うかもしれません。こちらは、市販のCDや配信音源を放送で流したときに、放送局が実演家・レコード製作者へ(指定団体を通じてまとめて)払う報酬のこと。音源から見ると「販売が一次、放送で使われるのが二次」なので、この名前になっています。
このページの話(コンテンツを二次利用したときに、出演者や原作者などへ払う対価)とは別のお金です。
関連する用語
- 権利処理 — 権利を洗い出し、許諾を得て、条件を決め、支払い、記録する一連の作業。用語ページ
- 二次利用 — 最初の目的とは別の形でコンテンツを使うこと。配信、DVD化、番組販売、グッズ化など(用語ページを準備中)
- 印税計算 — 売上に対する料率で対価を計算すること。映像の二次利用では、作品×権利者ごとに料率も「どの売上から」も違います用語ページ
このページに関するよくある質問
「買い取り」なら、本当に何も払わなくていいのですか?
買い取った範囲の中であれば、追加の支払いは発生しません。ただし「どこまで買い取ったか」は契約書の文言次第です。配信は含むが海外は含まない、期間は5年まで、といった限定があるのが普通で、範囲の外の使い方をするなら改めて相談になります。また、団体に権利を預けている出演者や作家の場合、本人と買い取りの約束をしても、団体への使用料が別に発生することがあります。
「二次使用料」と「二次利用料」は同じものですか?
現場では、ほぼ同じ意味で使われています。このページで扱っている「コンテンツを二次利用したときに権利者へ払う対価」を指すなら、どちらの言い方でも通じます。ただし「二次使用料」には著作権法上の別の意味(市販の音源を放送で使ったときに放送局が払う報酬)があるので、契約書や団体の資料を読むときは、どちらの意味かを確かめてください。
二次使用料は、誰が払うのですか?
そのコンテンツを二次利用する側です。多くの場合は、コンテンツを持っている放送局や制作会社、または配信事業者が、出演者・原作者・脚本家・音楽の権利者などへ払います。契約によっては、配信プラットフォームが権利者へ直接払う形もありますが、その場合も「誰が、誰に、何を原資に払うか」は契約で決めておく必要があります。
まとめ
- 二次使用料=コンテンツを二次利用するときに、権利者へ払う対価
- 払う相手は4系統(出演者/原作・脚本/音楽著作権/原盤)。1人に払って終わり、にはならない
- 決め方は固定額か料率。料率は「どの売上から・何の単位で・いつまでに」が作品ごとに違う
- 最初にまとめて払う「買い取り」なら発生しない。ただし「どこまで買い取ったか」の確認が必須
- 法律用語の「商業用レコードの二次使用料」は、音源を放送で使ったときの別の話
ヨリトキでは、この「誰に・どの売上から・何%で・いつ払うか」を作品×権利者ごとの台帳にして、売上報告から支払明細・報告書までを業務委託で引き受けています。「毎回Excelを組み直してるんだよな…」という段階で大丈夫です。お気軽にご相談ください。
参考ページ
- 芸団協CPRA 用語辞典「商業用レコードの二次使用料請求権」(法律用語としての二次使用料)
- aRma(映像コンテンツ権利処理機構)「事業内容」(放送番組の二次利用に関する許諾と使用料の徴収・分配)
- 文化庁 著作権分科会ワーキングチーム資料(aRma提出・2020年)(集中管理のカバー率は約90%、一任型と非一任型)
- 月刊公募ガイド 著作権Q&A「原稿の『買取り契約』の意味」(買い取りの2つの意味)
- JASRAC「動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」(音楽著作権と原盤の扱い)
- 文化庁「令和3年通常国会 著作権法改正について」(放送同時配信等の権利処理の円滑化)
2026年9月21日時点の情報です。制度や各団体の運用は変わることがあります。