印税計算とは?
映像コンテンツの二次利用で、誰にいくら払うかの計算

ざっくり一言印税計算とは、映像コンテンツを配信やDVD、販売などで二次利用したときの売上に対して、権利者へ「売上の何%」で払う使用料を計算することです。「売上×料率」で終わりそうに見えて、実際はどの売上に、何%を、誰の分として、いつ払うかの4つを決めないと計算できません。ここがややこしいところ。
  1. ¥
    売上報告が届く100万円

    広告付き無料配信のドラマ、今月分

  2. 1
    原資100万円

    「何に対する%か」を決める。この例では売上そのまま

  3. 2
    料率10万円

    出演者全体で10%(ドラマ)を掛ける

  4. 3
    按分5万・3万・2万

    出演者3人で、出演料の割合で分ける

  5. 4
    締め四半期ごと

    契約で決めた周期で集計し、支払明細をつけて払う

※説明用の例。料率はaRma使用料規程(ドラマ10%)を参考。原資や按分は契約で決まります

印税計算の流れ。原資 → 料率 → 按分 → 締め の4段階

※お断り※
このページは、権利処理に馴染みのない方に「だいたいこういうこと」を掴んでいただくため、私の個人的な解釈を記したものです。厳密な説明から少しずれますので、ご了承くださいませ!

そもそも「印税」って、税金じゃないの?

税金ではありません。売れた分に応じて権利者に払う使用料のことです。

名前の由来は出版の世界にあります。昔の本の奥付には、著者が自分のハンコを押した小さな紙(検印紙)が貼ってありました。著者が紙にまとめてハンコを押し、出版社がそれを1冊ずつ貼る。出版社はその枚数を発行部数として、著者に使用料を払っていました。ハンコを貼って払う仕組みが印紙税に似ていたので「印税」と呼ばれるようになった、というのが通説です。

机の上で、著者が小さな検印紙に赤いハンコを押しているイラスト。押し終えた検印紙が山になっている
著者が検印紙に1枚ずつハンコを押し、出版社がそれを1冊ずつ奥付に貼った。その枚数を数えて著者に使用料を払ったのが「印税」の始まり

映像の現場でも、「売上に対する料率で払う」方式のことを、ざっくり「印税」「印税方式」と呼びます。対になるのは「固定額」(配信1年につき○円、のように決まった額を払う)です。

計算に必要な4つの取り決め

「売上の○%」と契約書に書いてあっても、それだけでは計算できません。次の4つが決まって、はじめて数字が出ます。

取り決め何を決める?ここでもめる
① 原資「売上」とは、どの金額のことかプラットフォームの手数料や経費を引く前か、引いた後か。返品や値引きはどうするか
② 料率その原資の何%か権利者ごとに違う。同じ出演者でも、配信とDVDで料率が違うこともある
③ 按分複数の権利者・複数の作品で、どう分けるか作品単位か、エピソード単位か、出演した回だけか。出演者の中での分け方(寄与率)はどう決めるか
④ 締めいつ集計して、いつ払うか月ごとか、四半期ごとか、半年ごとか。売上報告が届いてから何か月以内に払うか。最低保証や上限はあるか。少額のときは繰り越すのか
ポイントこの4つは、作品ごと・権利者ごとに全部違います。「うちは一律○%」と言えないのは、契約が1本ずつ交渉で決まってきたからです。

原資は、配信の形で変わる

4つの中でいちばん見落とされるのが①原資です。同じ「配信」でも、お金の流れが違うと原資が変わります。大きく2つに分けて見てみましょう。

広告付き無料配信(AVOD)の場合

視聴者は無料で、代わりに本編の前や途中に広告が流れる形です。コンテンツホルダー(放送局や制作会社など、作品を持っている側)が自分で広告を売っている場合、動画が再生されると広告の売上はコンテンツホルダーに立ちます。そこから配信プラットフォームに「広告1本あたり○円」といった利用料を払います。

出演者・脚本・音楽などへの支払いは、この広告売上そのものを原資にするのが一般的です。広告を配信する設備や配信のシステム費は会社ごとに違うので、「経費を引いた後」を一律に決めにくく、売上そのものを原資にしている、という理解です。契約によっては、手数料などを控除した後の額を原資と定めることもあるので、契約書の「原資」の定義は必ず確認します。

ちなみに、広告売上の総額を「どの番組の分か」に分けるとき、再生時間の割合で分けるなど、按分の考え方は会社ごとに違います。ここも契約や社内ルールで決まるところです。

定額制有料配信(SVOD)の場合

視聴者が月額を払う形です。「月額×会員数」がプラットフォーム全体の売上で、そのうち契約で決めた割合がコンテンツを供給する側の取り分になります。その取り分を、再生実績に応じて各社に按分したものが、コンテンツホルダーに入金されます。

コンテンツを供給する側から見ると、プラットフォームの取り分が引かれた状態で入金され、配信の設備も自分で持たなくてよい。原資の性格が違うので、権利者への料率も広告付き無料配信とは別に設定されるのが一般的です。

ポイント「何%か」より先に、「何に対する%か」を確かめる。広告売上そのものなのか、手数料を引いた後なのか、入金額なのか。ここが違うと、同じ5%でも支払額が3割変わります。

権利者ごとに、決まり方が違う

つまり「印税計算」と一言で言っても、団体の規程で決まる部分と、個別契約で決まる部分が混ざっています。前者はルールを調べれば計算できる。後者は契約書を読まないと計算できない。この区別が、実務では最初の一歩です。

現場あるある: 3つの落とし穴

  1. 原資の定義が契約書ごとに違うのに、同じ式で計算してしまう広告付き無料配信は「広告売上そのもの」、定額制有料配信は「入金額」、原作だけは「手数料控除後」なのに、Excelの列は1つ。気づかず払い続けて、あとで差額の精算に半年かかる
  2. 売上報告の形が、プラットフォームごとに違う月次の会社もあれば四半期の会社もある。作品単位の報告もあれば、エピソード単位もある。取り込むたびに手で整形して、締めに間に合わない
  3. 払った記録が、明細と別の場所にある振込は経理、明細は権利担当、契約は法務。「去年この人にいくら払った?」に答えるのに3部署に聞いて回る。権利者から問い合わせが来ても、すぐ答えられない
ポイント落とし穴の共通点は、「条件」と「売上」と「支払の記録」が別々の場所にあることです。この3つを作品×権利者ごとに1つの台帳(権利台帳)にまとめると、計算は機械的にできるようになります。

関連する用語

このページに関するよくある質問

締めの周期が権利者ごとに違うとき、どう管理すればいいですか?

作品×権利者ごとに「締めの周期」と「支払期限」を台帳の項目として持ち、月ごとに「今月締める分」を抽出するのが基本です。月次・四半期・半年が混ざっていても、台帳から機械的に抜き出せれば、締め忘れは防げます。逆に、担当者が契約書を読み返して思い出す運用だと、周期が違う相手ほど抜けやすくなります。

寄与率は、誰が決めるのですか?

出演者への配分に使う寄与率は、その出演者の出演料が番組の出演料総額に占める割合として決まります。aRma(映像コンテンツ権利処理機構)の使用料規程でも、寄与率はそのように定義されています。実務では、番組を制作した側が出演料の実績から算出し、申請時に提出します。だから、出演料の記録が残っていないと、寄与率も出せません。

固定額と料率(印税方式)は、どちらが多いのですか?

権利の種類と利用形態で分かれます。放送番組の配信のように団体の使用料規程がある場合は、売上に対する料率が基本です。原作や脚本は、契約で固定額と料率のどちらもあります。実務では、同じ作品の中に固定額の相手と料率の相手が混ざるのが普通で、だからこそ権利者ごとに条件を台帳で持つ必要があります。

まとめ

ヨリトキでは、この「原資・料率・按分・締め」を作品×権利者ごとの権利台帳にして、売上報告の取り込みから支払明細・報告書の作成までを業務委託で引き受けています。「毎月、締め前にExcelと格闘している」という段階で大丈夫です。お気軽にご相談ください。

まずは相談する(無料)

参考ページ

2026年9月23日時点の情報です。制度や各団体の運用は変わることがあります。

← コラム一覧へ 権利処理のQ&Aへ