権利台帳とは?
何を書けばいいか、作り方と失敗例

ざっくり一言権利台帳とは、コンテンツごとに「誰が・何の権利を・どんな条件で・いつまで・いくら」を一覧にした記録のことです。権利処理でやったことの置き場であり、ライツマネジメントの土台。これがあると「この作品、配信できる?」「誰にいくら払う?」「前回はどういう条件だった?」に、その場で答えられるようになります。
Excelのサンプルを無料配布中この6項目をそのまま表にした雛形。架空の3作品入り。ページ後半からダウンロード ↓
  1. 1
    誰が権利者

    出演者、原作者、脚本家、作詞・作曲、音源、借りた素材の持ち主

  2. 2
    何の権利を権利の種類

    実演、原作の著作権、音源(原盤)など、権利の種類

  3. 3
    どんな条件で条件

    使える範囲(配信・DVD・海外)、固定額か料率か、何を原資にするか

  4. 4
    いつまで期限

    許諾の期間、支払いの締め、更新の時期

  5. 5
    いくら払ったか支払の記録

    いつ、いくら、どの売上にもとづいて払ったか

  6. 6
    なぜその条件か経緯と根拠

    決まった経緯、理由、特例かどうか、根拠の契約書の場所

1〜4で「使えるか」が分かり、5で「払ったか」が分かり、6で「次にどうするか」が決められる

権利台帳に持つ6つの項目

※お断り※
このページは、権利処理に馴染みのない方に「だいたいこういうこと」を掴んでいただくため、私の個人的な解釈を記したものです。厳密な説明から少しずれますので、ご了承くださいませ! 例に出てくる作品名や数字はすべて架空です。

なぜ台帳が要るの? 3つの質問に、すぐ答えるため

権利処理の仕事をしていると、くり返し聞かれる質問があります。

  1. 「この作品、配信できる?」 — 許諾の範囲に配信が入っているか、期限は切れていないか
  2. 「今月、誰にいくら払う?」 — 作品ごと、権利者ごとの条件と、売上の報告から
  3. 「前回は、どういう条件で決めた?」 — 次の契約の交渉や、担当者の引き継ぎのとき

台帳がないと、この3つに答えるたびに、契約書のファイルとメールを掘り返すことになります。台帳があれば、一覧を見るだけです。

何を書けばいい? 架空の1作品で

冒頭の6つの項目を、1作品の台帳にするとこうなります。作品も条件も架空です。

権利者権利の種類条件期限経緯・根拠
原作 ○○さん原作の著作権配信・DVD可、売上に対する料率契約から5年原作契約 第8条。標準の条件
出演 □□さん実演配信まで買い取り(海外は含まない)期限なし出演契約書。海外は別途相談の約束
主題歌「☆☆」作詞作曲/音源作詞作曲は団体経由、音源は固定額配信1年ごとに更新レコード会社との覚書。更新月は4月
借りた写真写真の著作権番組内のみ。切り出し不可期限なし提供元のメール(保管先:共有フォルダ)

この表があれば、「海外に出したい」と言われたときに、出演者と写真で止まることがすぐ分かります。支払いの記録(いつ、いくら払ったか)は、この表の右に列を足すか、作品ごとに別の表にして、行の番号でつなげます。

ポイントいちばん忘れられがちなのが、右端の「経緯・根拠」です。数字だけが残っていると、その場限りの特例だった条件が、担当者が替わったあとに「前回と同じで」と標準になってしまいます。「この作品限りの特例。理由は○○」と一行あるだけで、次の人が正しく判断できます。

作り方: 全部をいっぺんに作らない

台帳づくりで一番多い失敗は、過去の全作品をまとめて台帳にしようとして、途中で止まることです。おすすめの順番はこうです。

  1. これから配信や販売をする作品から — 使う予定のある作品なら、台帳を作った効果がすぐ出ます
  2. 項目は少なく始める — 最初は冒頭の6項目だけ。細かい項目は、使いながら足していく
  3. 書き方をそろえる — 作品名、権利者名、条件の書き方を決めておく。同じ人が「○○さん」「○○事務所」と別々に入ると、検索できません
  4. 新しい契約は、結んだ日に台帳へ — 過去分を埋めるより先に、これ以上増やさない

文化庁の審議会の報告でも、過去の放送番組を配信するには権利情報の確認から始まって大量の権利処理が要り、コストがかかることが課題として挙げられ、権利情報のデータベース化を進める必要性が指摘されています。台帳は、その「権利情報の確認」を、毎回ゼロからやらなくて済むようにする仕組みです。

まずは、この型から

権利台帳のサンプル(Excel)

このページで説明した6項目を、そのまま表にしたものです。架空の3作品・10行の例入り。「確認」シートに作品IDを入れると、未許諾・期限切れ・海外不可の件数が出ます。

サンプルをダウンロード(xlsx・約23KB)

Excelで始めるための最小の型です。社内でご自由にお使いください(改変可)。作品名・人名・料率はすべて架空で、内容の保証はありません。しっかりした仕組みをお持ちの会社には不要なものですが、「まだ作品ごとのExcelがばらばら」という段階の最初の一歩になれば幸いです。

ご自身で権利を管理している個人クリエイターの方へ企業からの依頼の条件整理、ライセンス料の計算、入金の確認を引き受けます。決めるのは、あなた。

現場あるある: 台帳の3つの失敗

  1. 作品ごとに、別のExcelファイルになっている台帳はあるのに、作品ごと・担当者ごとにファイルが分かれていて、作品をまたいで探せない。「この原作者と、ほかの作品ではどういう条件?」に答えられず、条件のばらつきにも気づけない
  2. 数字だけで、経緯が書いていない料率や金額は入っているのに、なぜその条件になったかがない。特例だった条件がそのまま次の作品に引き継がれ、担当者が替わるたびに条件が変わっていく
  3. 作ったきり、更新されない最初に頑張って作ったが、新しい契約や更新が反映されず、半年後には誰も信用しなくなる。入力の手間が多すぎる台帳は、続きません

台帳ができると、その先が見える

台帳は、権利処理を楽にするだけの道具ではありません。作品ごとの条件と支払いの記録がそろうと、売上と突き合わせてコンテンツごとの収支が出せるようになります。どの作品が、権利のコストを払ったあとでいくら残しているか。どのジャンルが、二次利用で長く伸びるか。これが、次に何を作り、どこへ展開するかの判断材料になります。くわしくは「ライツマネジメントとは?」へ。

関連する用語

このページに関するよくある質問

権利台帳は、Excelで作ってもいいですか?

最初はExcelで十分です。大事なのは道具より、作品ごとにばらばらのファイルにしないこと、項目と書き方を全員でそろえること、決まった経緯も一緒に残すことの3つです。作品数や権利者が増えて、検索や集計、支払計算までつなげたくなったら、データベースや専用のツールに移す、という順番が無理がありません。

権利台帳は、誰が管理するのがいいですか?

作品をまたいで見られる人や部署が持つのが理想です。作品ごとの担当者が自分の分だけ持つと、担当者が替わったときに記録が途切れ、会社としての条件のばらつきにも気づけません。記入は各作品の担当者、確認と全体の管理は権利を扱う部署、と役割を分けるのが現実的です。

契約書そのものも、権利台帳に入れるのですか?

台帳に持つのは、契約書から読み取った条件のデータと、契約書の保管場所です。原本は今の保管場所に置いたままで構いません。台帳に「どの契約書の何条にもとづくか」を書いておけば、必要なときに根拠へすぐたどれます。台帳は契約書の置き換えではなく、契約書への索引だと考えてください。

まとめ

ヨリトキは、権利処理の実務を業務委託で引き受けながら、その記録を権利台帳として整えます。過去の契約書の読み取りから、台帳づくり、支払計算、収支の見える化まで。「台帳を作りたいが、手が回らない」という段階でご相談ください。くわしくはサービス内容へ。

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参考ページ

2026年10月18日時点の情報です。制度や各団体の運用は変わることがあります。

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